マスコミにも、ツイッターの文字が溢れるようになって、IT系を筆頭に、会社や個人事業主でもかなり使われ始めてはいますが、実際にビジネスにどう役立つかは、いわゆる入門書を見ても良くわからないと思います。
そういう方には、うってつけなのが本書。アメリカでの多数の事例を紹介して、ツイッターのビジネス利用の勘所を教えてくれます。リツイート(簡易引用機能)で、いいことも悪いことも、あっという間に広まる特質をうまく使いこなせれば、ビジネスでも大きな力になるでしょう。
ただし、本社は具体的な操作や表示などを解説しているわけではないので、まず、自分でアカウントを作り、ちょっといじってみて、いろいろな企業のツイート(ツイッターに書き込まれた文章)を多少眺めてから、読まれるといいと思います。
また、かなりの大部ですので、最初に、巻末にある林信行さんの解説(日本でのiPhoneでのツイッター利用について)を読んでから読みすすめると、イメージしやすいかと思います。
本書では、アメリカでツイッターがどのようにできて、どのように広まったかをドキュメントしているほか、DELLなど大企業から、スモールビジネス、政治家、報道、慈善事業の寄付集めなど、「仕事」の現場でうまく使われた事例が、多数紹介されています。
著者が、とりわけ強調しているのが、サイトやブログの更新情報や公式リリースだけでは、ツイッッターを使っているとはいえず、もっと担当者個人を前面に出して、顧客とのコミュニケーションに使え、という点です。
確かに、マスでの広告、広報の対極として、ひとりひとりの顧客に「要望を聞いてもらえた」「丁寧に対応して貰えた」というという満足感を与えるには、ツイッターは大きな武器となるでしょう。
しかも、その対応のやりとりを、公開掲示板のように他のユーザーに見せることも、メールのように1対1でやりとりに切替えて行うことも可能です。その際、企業名でのやりとりより、担当者個人とのやりとりに信頼が置かれるという事は、万国共通だと思います。
一方、新聞、テレビでは窺い知れない、様々な情報を得られるというのが、ツイッターの利点なわけですから、更新通知だけでも、十分フォローの対象となるでしょう。その点は著者と意見が異なります。
また、顧客の立場からはツィッター万歳であっても、実際、ソフト会社でカスタマーサポートを経験した立場から言うと、そう話は簡単ではありません。十分な準備が必要です。操作方法とか技術的なことではありません。
実際のサポート現場では、本書に出てくるような、知的でクールなユーザーばかりではありません。ツイッターが広まるほど、色々な人が問い合わせてきます。モンスター・カスタマーの凄まじさを著者は知らないのでしょう。
どういう場合でも、柔軟に対処でき、権限もそれなりに与えられるカリスマ担当者が必須ですが、それはIT技術だけでが解決できず、違うアプローチが必要になるでしょう。
電話やメールでの対応同様、ツィッターを使ったカスタマー・サポートでも、顧客満足度を上げるには、結局は、「人間力」のある人材が担当するかどうかに、かかっています。
140字で誤解を受けず「必殺の親切」を表現でき、モンスターをいなせる、大量の顧客が殺到するような場合でも、うまくさばける人材と体制の整備が必要です。これは時間とコストが必要です。
逆に言うと、顧客の数がそれほどでなく、要望を即座に現場に反映させる仕組みがあり、コンシェルジェのつもりで応対できる人材が見込めるなら、ツイッター利用の成功の可能性は高まります。
本書でも指摘されているように、情報とリアルな行動・対面が結びつけやすい、ローカルtoローカルにこそ、ツイッターは威力を発揮する仕組みだと思います。
話は変わりますが、ツイッターの興隆の話を読むと、アメリカでの「投資」の発想が日本とは、大きく違うことに驚きます。2回、3回と失敗した人間でも、「ユーザーの満足度を徹底して上げる」仕組みが作れるなら、短期的な収益は後回しで投資する。
実際ツィッターも具体的な「ビジネルモデル」はこれから、というところで関連技術の会社を買収できる資金を調達しています。
考えてみれば、アマゾンなども巨額の赤字をずっと出しながら、ようやく近年になって黒字化したわけですが、それまで、資金提供をつづけた「エンゼル」の存在があるからでしょう。
日本での起業支援では、プロデューサーみたいな人が「ビジネスモデル」を査定して、手堅さが売りの銀行融資の仲介をしようとする。これでは、「バクチ」的要素を含む新しい技術は、なかなか企業化しづらいですよね。
実は本書を読むと、ツイッターには、アマゾンが出資して、アマゾンのCEOが取締役に入っているとあります。だから、真っ先にアマゾンのアフリエィトがツイッターで可能になってるわけですね。



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