松崎有理著『イヴの末裔たちの明日』を読む

松崎有理著『イヴの末裔たちの明日』を読みました。

5作品の短編集で、2作は書下ろし。

タイムマシンやAI、宇宙ステーションが舞台のSFものから、暗号・宝探しなどファンタジーものまで、バラエティー豊かで楽しんで読めます。


何せ著者御本人による特設HPがあるので、わたくしのトンデモ解釈を避けるためw、概要を引用させて頂くと、

  • 未来への脱獄
    ストレートな時間テーマもの。
    「自分は未来人」と嘘をついたせいで懲役となった男が、刑務所のなかで同じく未来人と自称する男とガチでタイムマシン建造する話。バディものでもあります。
  • ひとを惹きつけてやまないもの
    19世紀のトレジャーハンターと21世紀の数学者が、たまたま同じ名前の謎の解明にとりつかれます。謎には莫大な賞金がかかっているところも同じ。
  • イヴの末裔たちの明日
    表題作。近未来もの。
    AIに仕事をとられて失業した主人公がみつけた、ぜったいに人間にしかできない仕事とは。
  • まごうかたなき
    伝奇ファンタジー。村をおそう妖怪を退治するため決死隊が結成されます。妖怪を倒せば英雄になれますが、ひじょうに危険な任務です。妖怪にはある不思議な特徴があって、だれが倒したかわかるようになっています。書き下ろし。
  • 方舟の座席
    書き下ろし。「ひとを惹きつけてやまないもの」スピンオフ。
    滅亡寸前の地球から、ひとにぎりの超富豪が宇宙ステーションへ逃れます。皮肉なことに彼らは先の短い老人ばかり。それと非公式に、若い女性も幾人か含まれていました。

著者のこれまでの作品では、かなりな知識の泉に、当方のような文系トウシロは、溺れそうになるところもあったのですが、この短編集では、短編ということもあるのでしょうか、キーとなる知識の部分は絞り込んで、先が読みたくなる展開に集中させてもらえます。

とりわけ、RPGゲームのような設定、描写の「まごうかたなき」は、これまでにない作風で、面白かったですね。

「ひとを惹きつけてやまないもの」は、宝探しの暗号謎解きですが、こういう暗号もあるかと、驚きました。

SF作品では、アイロニーが練り込んであって、読み終わった後に、ニヤリとしてしまいます。

「方舟の座席」は、映画「2001年宇宙の旅」のような宇宙ステーションの映像の中に、美女と老人のブラックな話で、情景が目に浮かぶので、是非ドラマか、映画にして頂きたいです。