本ブログは[PR広告]が含まれています

疲れた心に、人形童話「チェブラーシカ」を

仙台フォーラムで、映画「チェブラーシカ」を見ました。

ロシアの人形アニメーションの童話劇です。2頭身のかわいい「チェブラーシカ」は、昔よくいっていたサンドゥイッチ屋さんのポスターで、で見かけていたので、ロシアのキャラクターということだけは知っていました。

が、単に見た目が、かわいいというのではなく、ストーリーや人形の造形、動きまでもが、現代の童話として、こころに沁みてくる素晴らしい作品でした。
(以下ネタバレあり。ご注意)


果物屋のオレンジの箱につめられていた、子熊のような、栗鼠のような正体不明の生き物「チェブラーシカ」(ばったり倒れ屋さん)。上目使いの目、しょぼくれた時のまなざしが、けなげです。

歩くのもおぼつかない感じですが、動物園で働いている孤独なワニ、ゲーナが街中に出した、「友だちになってくれる人募集」という貼り紙を見て、会いにいきます。「ぼくが友だちになるよ」

このゲーナの孤独感を表現しているシーンがとてもいいです。チェスの盤を、何度か前後ひっくり返して、自分でひとりチェスをしたり、ポットにパイプを咥えさせて相方に見せたり。説明はいりません。

そして、次々と貼り紙を見てやってくる「友だちのいないひと」達を見て、ゲーナとチェブラーシカは、「友だちのいない人ための家」を、皆で作り始めます。

しかし、やっと完成したら、もう「友だちのいない人たちのため家」は必要でなくなりました。
なぜなら、みんな、もう「友だち」だからです。

それで、電話ボックスに住んでいたチェブラーシカに対して、ここに住んだら、と誰かが言います。

すると、彼は、「いいえ。ここは幼稚園にしよう。ぼくがおもちゃになるよ」というのです。。。

童話なんだけど、大人の寓話。
何かアンパンマンなどとも共通する話ですが、日本のキャラクターが、大抵スーパーマンだったり、未来から来た超能力を持つネコだったりするのと違い、チェブラーシカには、何も能力がありません。

歩くのさえ不器用です。ゲーナのアコーディオンにあわせて踊るくらいしかできません。でも、そんな彼でも、誰かの友だちになることはできるです。ゲーナや意地悪ばあさんを勇気づけることはできるのです。

全部で4話。40年前の作品もあります。劇的なシーンや、大掛かりりな感動シーンもありません。

ただ、丹念に動きをつけた人形たちが、万国共通の感情を静かに刺激します。

こんなに淡々としたストーリーなのに、泣いているひともいました。かわいいだけじゃない、何かがあります。疲れている人に是非おすすめしたい映画です。

原作は1967年に出版されたエドゥアルド・ウスペンスキーの児童文学。アニメーションはロマン・カーチャーノフ。今回の配給は、三鷹の森ジブリ美術館です。