プロの漫画を目指す誰かのために、というのが主目的の漫画創作入門書ですが、漫画の細かいテクニックは一部のみです。プロとして、「読まれる漫画」を作りだすにはどうしたらいいか、売れない時はどうするか、というなかなか聞けない話が書いてあります。
荒木さんも書いている通り、その基本的な考え方は、漫画のみならず、映画、小説などの作品制作や、顧客の心を掴む必要があるプレゼン、企画書作り、さらには論文作りなどにも参考になりそうです。
「キャラクター」「ストーリー」「世界観」「テーマ」の四大要素を踏まえながら、まずは一ページ目から読者を驚かし、次を読んで貰おうとする工夫。
当方も、漫画は映画に近い総合芸術だと思っていましたが、さすがにプロは、基本となるイメージから、シーンの絵やレイアウト、セリフなど湧いて来るというのは凄いですね。
まずは漫画の読者が望んでいる、「ハッピーエンド」「徐々にプラス」「カタルシス」のような感情を、しっかりとゴールに見据えながら書いていかないといけないし、そのためには売れている漫画の特徴をしっかり分析し、素材については徹底的に調べた上で、アレンジする。
著名漫画のどういう点が優れていて、なぜ売れたのかの分析も、とても面白かった。
一方で、売ることに追われて、自分を見失わないようにするため、しっかりと「自分は何を描きたいのか」という点は、ぶれてはいけない、ということです。ほかの人の徹底研究はしても、真似はしない。クリエイティブな仕事を続けるための基本でしょうが、改めて納得です。
ちなみに、あの「ジョジョ立ち」とか、なかには無理筋もあると思っていたら、解剖学や美術理論の基本を踏まえたうえで、捩じっていたのですね。ファンの方には、当然だろ、と言われそうですが。。。