今年2月に亡くなった俳優、大杉蓮さんが、初プロデュース、主演を務めた遺作の映画「教誨師」を見てきました。監督・脚本は、 佐向大。
死刑囚の、こころ救済や罪との向き合いの手助けをするという、ボランティアの宗教者が教誨師。
この映画では、大杉蓮演ずるキリスト教の教誨師が、6人の死刑囚と対話するシーンが続きます。以下多少ネタバレあり。
6人死刑囚は、(任意なので)何等かの思いがあって、教誨師と面談するわけですが、登場する人達は、はっきりいて、かなりヤバイ感じのキャラクターで出てきます。
これを演ずるのが、玉置玲央、烏丸せつこ、五頭岳夫、小川登、古舘寛治、光石研。
脇役として、見慣れた顔もあれば、自分的には初めて認知した、舞台俳優もいますが、とりわけ大量殺人犯の玉置玲央は、ヤバイ。本当に殺してそうw素晴らしい演技です。
また老いた死刑囚で、強烈なキーワードを残す、五頭岳夫も、ほとんどドキュメンタリーとしか思えない、枯れた演技。
うっとしい、おばちゃん役の烏丸せつこも、自ですか~といいたくなるほど、嵌っている。
6人を通して、実際に殺人を犯すのは、ごく一部の人に過ぎないが、その過程にある「何か」は、誰でもが持っており、それを突出させたのが、これらの人々である、と訴えているように思えます。
生きるとは何か、人と関わるというのは、どういう事なのか。
そして、教誨師自身の秘密。
オチや答え探しが、できるような映画でなく、様々な感想が出てくるべき好映画です。
ただ、全編、二人で向かい合う対話劇なので、緊張は、求められるかもしれません。
仙台では11月7日現在、北四番丁のフォーラム仙台で1日1回のみ上映しています。