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映画「アーティスト」ですっきり気分

少し前になりますが、ミシェル・アザナヴィシウ 監督・脚本、ジャン・デュジュルダン主演の映画「アーティスト」を見てきました。

サイレント映画で、フランス映画でありながら、第84回の作品賞、監督賞、主演男優賞、衣装デザイン賞、作曲賞と、5部門でオスカーをさらった映画です。

賞にふさわしい、素晴らしい映画なのですが、いくらハリウッドが舞台とはいえ、サイレントで、外国の映画で、地味にも思えるモノクロ作品に、ハリウッドがオスカーを与えるとは驚きでした。

しかし、シンプルなストーリーの中に、味わい深いペーソスがあり、映画的なカタルシスに満ち溢れていて、映画館を出たあと、すっきりとした、いい気分に浸れる作品で、お勧めです。

以下ネタバレあり。


ストーリーはいたってシンプル。1927年の世界恐慌直前のハリウッドで、サイレント映画のスターとして、だれもが羨む人気を誇っていた二枚目男優。妻とは冷えた関係にありますが、仕事は順風満帆。余裕の笑顔を振りまいています。

男優は、エキストラの若い娘と知り合うようになりますが、二人は近づきながらも結ばれることはありません。男優のアドバイスで、つけぼくろをつけた娘は、次第に人気を得るようになり、さらには、トーキー映画の時流にのってスターとなっていきます。

一方、自分は「アーティスト」だといって、トーキーを断り、頑なにサイレント映画にこだわった男優は、次第に仕事を失い、落ちぶれていきます。

妻とも冷えた関係にあった男優は、離婚し、没落し、家財も売るハメになります。誇りを捨てられずにいた男優は、ついには、自殺を図るまでに。

逆にスターとなった娘は、ひそかに彼の家財を買い戻し、愛する男優のために、共演の仕事も確保し、何とか立ち直らせようとするのですが、元「スター」にとって、それはどういう意味を持つのか・・・畳み掛ける演出が素晴らしい。

主演のジャン・デュジュルダンの、冒頭の男版ハリウッドスマイルと、ラストシーンに出てくる汗まみれの笑顔がいいです。意味がまったく違うのですが。

何より、サイレント映画ではありますが、ルドヴィック・ブルースの音楽が素晴らしく、こころの移ろいを見事に代弁。作曲賞も納得。また、テリアのかわいらしい演技や、脇役陣の渋さもあって、映画の世界に自然に入っていけます。
アーティスト オリジナル・サウンドトラック

いろいろあって、最後のタップシーン。気持ちいいですね。人気も名誉もお金も失っても、本当の愛があれば・・・もう、踊るしかないでしょうw

フランス映画とはいっても、ハリウッドを題材にし、ハリウッドの世界を象徴的に表現した映画で、オスカーを与えざるを得なかったのではないでしょうか。

こんな講釈はいっさい不要。映画そのものの世界に浸って、爽やかに映画館を出られる作品です。これはテレビではダメ。是非、映画館で見るべき作品です。

仙台では、フォーラム仙台と、MOVIX仙台で11日までは上映しています。