中山七里原作、瀬々敬久監督、林民夫・瀬々敬久脚本で、佐藤健、阿部寛、清原果耶出演の映画、『護られなかった者たちへ』を観てきてました。
震災10年後の仙台を舞台に、被害者を束縛・放置して餓死させるという残忍な連続殺人事件の話ですが、ミステリーだけでなく、震災、避難所、生活保護など、宮城を舞台にしながらも、震災だけでなく社会福祉、そして正義について考えさせる映画となっています。
以下、最小限のネタバレあり。
#佐藤健、阿部寛、清原果耶と、人気俳優が揃って出演していますが、それぞれに、役柄に個性を滲ませて、好演しています。
特に、主役の二人の男優もさることながら、現在、NHKの朝ドラ「おかえりモネ」で、気仙沼出身の気象予報士を演じている清原果耶さん、ほよほよ顔のモネとは全く異なる、感情の荒々しさを表現。
清原さん自身とは別人ではと思わせるほど厳しい表情・演技が、凄いです。
撮影は、2020年6月~7月に、宮城県内でロケが行われていて、モネの撮影と重なっている時期かと思いますが、とりわけ、その別人ぶりは、ポテンシャルの高さを思わせます。
ちなみに、病院のシーンで、仙台科学館が舞台に出て来て、あれ?と思ったのですが、これも、コロナの状況が厳しい時のロケで、病院が使えなかったためとのことです。
刑事役の阿部寛は、おおむね他の作品でも演じてる「阿部寛」刑事なのですが、妻子を探して、遺体安置所を巡った後の崩れた表情、そしてラストシーンでは、全く違う複雑な感情の表現を見せて、これも必見。
そして、佐藤健は、出るなり、その役がどういう人間が理解できる演技で、これもさすが、というところです。
2016年に河北新報連載の小説の映画化ということで、ストリーリー部分は、ご存知の方も多いでしょうが、被災者をとりまく環境、こころの喪失、という被災地の問題だけでなく、生活保護、社会福祉とは、という全国共通な問題についても訴えかける、ミステリーを超えた作品となっています。
尚、津波は出てこないものの、がれきや避難所などのシーンが、リアルに出てきますので、ご注意下さい。
例によって、ロケには、せんだい・宮城フィルムコミッションが協力。第8回「仙台シネマ」に認定。
仙台市内の公共施設、気仙沼や塩竃のシーンが出てきます。ロケ地マップもあり。
また、キャンペーンとして、11月30日まで、映画館チケットの半券により、仙台ほかロケ地の店でサービスを受けられたり、宮城の特産品が当たったりしますので、半券は捨てずにどうぞw