伊坂幸太郎氏原作の映画『Sweet Rain 死神の精度』を見てきました。
デスノートのように、ひと目見て死神と分かるような設定ではなく、魅力ある人間として登場させるため、金城武という配役もそうですが、CGや黒い犬などで登場シーンを工夫しています。
大きなカタルシスはなくても、原作の持つエッセンスを映画なりのやり方で、良く表現されている作品だと思います。以下ネタバレあり。
個人的には、まだ原作を読まれていない方は、映画を見てから読んだ方がいいと思われます。映画には、また別の表現方法がありますから。
この映画では、原作の短編集の中から、「それなりに生を全うしたのか」を調べ、調査対象を数日内に死なせるかどうかを死神が決定する、というエピソードが3つ出てきます。
最初の話で、冴えないOL役の小西さん(すっぴんだそうです)が、「私って醜いでしょ」と死神役の金城武に尋ねるシーンは、おいおいという感じですが、小声でぼっそとしゃべる、しかし声に特徴があるという役には、はまっていました。自分もサポート業務の経験があるので、クレーマーとか徒労感、分かるなあ。
さて、原作では、あえて曖昧に書かれているところを、映画では、はっきりと分かりやすく描いています。また、最後のエピソードでは、時間の経過を見て分かるように、特別なキャラクターが出てきますが、少し自分には違和感がありました。
死神自体がリアルな存在ではないので、観客にそこまで納得させる必要もなかろうと思うのですが、ただ皆が皆、本を読んでから来るわけではないので、説明として必要な表現だったのかもしれません。
それぞれの役者さんは、個性を良く表現されていて、面白かったです。微妙な表情の変化にご注目下さい。
筧昌也監督、金城武主演、小西真奈美、富司純子共演。