明日3月2日から、NHK Eテレで毎週月曜22:25分から、瀬名秀明講師による「100分de名著「アーサー・C・クラーク スペシャル」」が、4回にわたって放送されます(再放送あり)。
そこで、テキスト本『「アーサー・C・クラーク」スペシャル 2020年3月』を読んでみました。
クラークの4作品「『太陽系最後の日』『幼年期の終わり』『都市と星』『楽園の泉』の四作を中心に読み解きながら、SF入門書であり、マニアな方には、SFと文学、そして文明のかかわりの再発見を促す、新書の趣きのテキストとなっています。
テキスト本なので、詳細は、番組を見てということになるのでしょうが、本書を読むだけでも、当方のような「2001年」くらいしか読んでいない人間にも、引き付けられる、クラークの生涯と作品。
大御所クラークでさえも、初期は、表面的な「科学技術」一辺倒な時期もあったんですね。
それが、年を重ね、ダイビングなどの経験を通して、多様性も認めるようになり、大きく世界を捉えるようになった。
作品における、科学技術上の先見性も驚きですが、科学と人間のかかわりの考え方を、柔軟に変える事ができた事にも驚きます。
昨今の、全否定・全肯定で、「勝った負けた」だけ、独善に籠る、各界における不毛の議論。
論文ではない、文学としてのSFが持つ、「センスのよい好奇心」への誘う力により、多様性を認めることができるようになれば、科学技術が真に生かされた、より豊な人間未来につながるのではないか。
筆者は、今回の講座を通して、そう問うているような気がします。