震災と原発をテーマにした、谷川俊太郎、村上龍、佐伯一麦他17名の詩人・小説家によるアンソロジー、「それでも三月は、また」を読みました。
小説家の方の中には、わざわざ「東日本大震災関連の事は書かない」と宣言される人もいます。勿論、どのようなスタンスで、この事象にかかわるかは、他人がとやかくいう問題ではないですが、そういう方にまず、この本を読んでいただきたい。
同業者の方は、どのように震災を捉えて、どう表現しているか、純粋に文学表現として興味深いものになっているはずです。
仙台在住小説家作品の図書室/伊坂幸太郎、伊集院静、熊谷達也、佐藤厚志、瀬名秀明、佐伯一麦、三浦明博
震災と原発をテーマにした、谷川俊太郎、村上龍、佐伯一麦他17名の詩人・小説家によるアンソロジー、「それでも三月は、また」を読みました。
小説家の方の中には、わざわざ「東日本大震災関連の事は書かない」と宣言される人もいます。勿論、どのようなスタンスで、この事象にかかわるかは、他人がとやかくいう問題ではないですが、そういう方にまず、この本を読んでいただきたい。
同業者の方は、どのように震災を捉えて、どう表現しているか、純粋に文学表現として興味深いものになっているはずです。
熊谷達也氏の新刊「バイバイ・フォギーデイ」を読みました。
近未来というか、ほぼ現代の函館を舞台に、才色兼備、総理大臣を目指す女子高生「岬」と、高校生ギタリストとして、バンド活動に明け暮れる、幼馴染の「オレ」が、高校生にまで与えられた、憲法改正の国民投票権をめぐって、文化祭のミュージカルのテーマを改正論議の関連づけて、日本中を巻き込んでしまおう、というお話。
と書くと、とても固い話のように見えますが、「青春グラフティー」「インターネット・ラテラシイ」「憲法9条」の3本立てのテーマうち、著者お得意の「青春グラフティー」の展開がハラハラさせて、引き込まれてしまいます。
メインテーマの、9条を巡る論点の分り易い解説もいいのですが、インターネット掲示板での攻防とか、舞台の函館の見所解説、そしてなにより、主人公二人の恋?の行方が気になり、どんどんと読み進んでしまいます。
「仙台ぐらし」は、地域誌『仙台学』の1号から10号まで(2005~2010年)の連載エッセイを全面改稿、震災後のエッセイ3本などを加え、震災ボランティアからヒントを得た書き下ろしの短編「ブックモビール a bookmobile」を収録。
したがって、震災前の、仙台での作家稼業のいろいろなシーンがメインの本です。
長期にわたるエッセイ集ですが、著者の人となりが表れていて面白いですね。奥さんと子供ひとりがいるらしいことも分りました。 “伊坂幸太郎エッセイ集『仙台ぐらし』を読む” の続きを読む
仙台在住小説家、瀬名秀明著の、小説版ドラえもん のび太と鉄人兵団を読みました。
ある年代以下の人にとって、ドラえもんは国民的アイドルであり、いまや世界各国で翻訳もされて、ワールドワイドな漫画ですよね。
本書は、ドラえもんファンを自称する著者により、原作に対するオマージュとして書かれていると思われますが、ドラえもんを知らない希少な日本人にも楽しめるようになっています。
かくいう、私自身も、ドラえもんで育った世代ではなく、わずかしかテレビアニメも見ていないので、原作との異同や、世界観を語ることはできません。
本書には、そういうひとのために、登場人物の性格や舞台の説明が丁寧にされており、ようやくドラえもんの由来や、家族環境や微妙な性格が分りました。
そういう私が言うのも何ですが、この作品は、「ドラえもん」の持つ奥深さとメッセージを損なうことなく、エンタメの中にも、ロボット関連科学のテーマを散りばめたの作品のように感じました。
仙台在住小説家、伊坂幸太郎氏の「3652―伊坂幸太郎エッセイ集 [単行本] / 新潮社 (刊)」を読みました。
「エッセイは得意ではありません」と宣言している同氏ですが、2000年のデビュー後、最初の原稿依頼が「公募ガイド」のエッセイだったという事ですから、仕事は、しないといけません(笑)
この本は、デビュー10周年を記念して、2010年までのエッセイや数行のアンケートの回答まで、丹念に集めたエッセー集です。小説にからんで、家裁調査官向けや看護婦さん向けの雑誌に掲載された珍しいエッセイもあります。
面白いのは、昔のエッセイ全編に、現在の視点で、脚注を会話体のようにつけてあること。少々「(笑)」が多いのは、照れ隠しでしょうか。
以下ネタばれあり。
昨年仙台でロケを行った、伊坂幸太郎原作、中村義洋監督の映画「ゴールデンスランバー」を見てきました。
伊坂作品の映画は、「
陽気なギャングが地球を回す
」、「
アヒルと鴨のコインロッカー
」、「
フィッシュストーリー
」、「
Sweet Rain 死神の精度
」、「
重力ピエロ
」と見てきましたが、最も分かりやすく描かれ、感情移入できて、楽しめた映画でした。
この映画は、仙台にいるひとも、そうでないひとも楽しめる映画です。きっと学生時代の友だちに電話したくなるでしょう。
以下ネタバレあり。