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伊坂幸太郎著「残り全部バケーション」を読む

伊坂幸太郎著の小説、「残り全部バケーション」を読みました。
2008年から2012年まで雑誌発表された短編4本と、書き下ろしの1編を加えた5章で構成されていますが、例によって、共通する登場人物が、独特のキャラを発揮していきます。

裏家業の人物が、金を巻き上げていく話が続きますが、次第に登場人物にシンパシーを覚えてしまうから、やっかい。ある意味、伊坂作品の「バディ物」らしい展開で、ファンの方は安心して読めるかも。

迷惑メール、中年離婚、出会い系、ストーカー、児童虐待など、最近の社会現象を取り込みながら、小悪党たちの「奇妙な行動」を面白く展開しています。最後には親分への襲撃作戦の謎解きも。

裏家業の「派遣社員」として、当り屋や取立てなどを行う溝口がメインキャラクター。あこぎな生業を冷徹に実行してはいますが、どこか感情的、思い付きで行動しているようで、手下から見ても危なっかしい感じです。

しかし、この溝口が、どこか生真面目な所がある手下、岡田と組んだところから、心境の変化のようなものが現れてきます。

例によって、著者は、直裁に主張を出すには照れがあるようですが、言いたいことは十分伝わる展開。また、ばらばらの時期に発表された短編が、終章で、すとんと落ちていくのも、気持ちいいですね。

法律ではどうにもならないとことを、必殺仕置き人まではいきませんが、必殺仕掛け人のように企てる展開は、大変面白かったです。

第1章「残り全部バケーション」
第2章「タキオン作戦」
第3章「検問」
第4章「小さな兵隊」
第5章「飛べても8分」(書き下ろし)
単行本化にあたり加筆修正あり。

尚、Kindleほか電子書籍が、1100円で各社から出ています。

伊坂幸太郎 著 『残り全部バケーション』   [PR]
本購入:amazon 楽天ブックス  紀伊國屋 セブンネット Honya Clubicon 
電子書籍:Kindle honto 楽天電書 Kinoppy BookLive AppleBooks 
発行:2012/12/05 出版社:集英社 紙価格:1470円
ジャンル:ミステリー 形態:単行本