伊坂幸太郎著「陽気なギャングは三つ数えろ (ノン・ノベル)」を、ようやく読みました。
特技を持つ男女4人のギャングが活躍する「陽気なギャング」シリーズの最新第3作で、前作から9年ぶりとのこと。登場人物も歳を取っています。また本作には、著者の新作を出すにあたっての気持ちなども、書かれています。
最近の伊坂作品の「読みやすさ」から、ことば遊びや、しつこいほどに絡まる言い回しのテイストに戻り、旧作ファンが喜びそうな文体。そして王道の伏線と、どんでん返しが切れ味鋭く、後半にいくほど畳み込まれます。以下ネタバレあり。
さて、今回は、銀行強盗ではなく、プライベートをほじくり出し、必要以上のバッシングが起こして、自殺者が出ても平然としてしている週刊誌記者との闘いがメイン。
丁度、この春は、某週刊誌のスクープで賑わう日々なので、今から読む人にはナウいですw
その記者に追われている女性アイドルを救おうとして、逆に、記者にギャングの正体を掴まれ、4人組がピンチ。しかし、記者に金を貸しているカジノのコワモテに、金を返済すれば、記事は書かないという。が、信頼てきない。
そこで、4人の特技と女性アイドルの力も借りて、一発逆転を狙うが・・・。
ストレートに、こう行くな、と思えるところと、そう来たかとびっくりするところが、いい按配に混ざって気持ちよく読み進められます。
冷酷非道とも思える週刊誌記者だけを非難しているように見えて、それに踊らされる民衆の「リンチ」にも、記者のセリフを通して、批判しているようにも思えます。そのへんのぼかし方も伊坂流でしょうか。
書下ろしの新書版ですが、2段組みの小さい活字で、結構分量あります。
ところで第一作「陽気なギャングが地球を回す 」を映画化した時(2006年)の配役が凄いですよ。ただ、今回の作品とは、少し違うイメージかも。
チームのリーダー&人間ウソ発見器=成瀬(大沢たかお):人の嘘を見抜く能力に優れているが、自分の恋には無器用な市役所職員
●人間タイマー=雪子(鈴木京香):正確無比な体内時計と卓越した運転技術を持つ、一見クールな一児の母
●演説の達人=響野(佐藤浩市):人生や犯罪へのモットーを語り、人質をも感動させるロマンを求める夢追い人
●スリの天才=久遠(松田翔太):華麗な指さばきで獲物を盗む、動物好きの大学生