伊坂幸太郎著「チルドレン」を読みました。
現在入手しやすいのは2007年の文庫版ですが、2004年に単行本が出た連作短編集。今年発売の「サブマリン」の元本ということで、読んでみました。以下ネタバレあり。
楽天的で、無茶苦茶な論理をふりかざし、周りをひっかきまわず大学生、陣内。
彼は後年、ユニークな家裁調査官になるのですが、その個性を描くためのエピソードとして、学生時代に銀行強盗に遭遇、人質となるも、盲目で冷静な観察力を持つ永瀬と共に、事件からの脱出を図るという話「バンク」ほか、「レトリーバー」「イン」の3編と、調査官になってからの行動を描く「チルドレン」「チルドレンII」の計5編が収録されています。
一見、自分勝手で、調査官のルールも逸脱し、冷酷のような発言はするが、実は人情家。漫画の「人間交差点」のようなエピソードは、伊坂作品の中でも、独特な気がしますが、家庭の問題に入り込みながら、解決を図る「奇跡を起こす」という男の話は、読後感は爽やかです。
2006年にテレビドラマや舞台化されているそうです。各社から文庫半、電子書籍版がでています。