伊坂幸太郎著『逆ソクラテス』を、ようやく読みました。
小学校から高校までの、子供たちの綾なす人間関係と、成長を描く短編集。5本の内、3本は書下ろし。
例によって、短編の中の登場人物たちが、時空を超えて、つながっていきます。
学校生活の中で、子供達がお互いに傷つけたり、傷ついたり、気づいたり、大人を見たりしながら、成長していきます。
正義の反対は悪なのか、もう一つの正義なのか。
教師の見方だけが唯一の視点なのか。
いじめた人間を、罰としていじめていいのか。
心理的に追い詰めてくる相手を、見かえす一言は。
作者の答えは、万能ではありませんが、物事の一面だけで判断すること、人にレッテルを張ることの危険性を、様々なエピソードの中で、訴えているようです。
と、書くと、しごく真面目な物語のようですが、そこは伊坂流のひねりがあって、面白く読めます。
初出:
・「逆ソクラテス」 『あの日 君とBoys』収録2012年 集英社文庫
・「スロウではない」『オール讀物』2015年8月号
・「非オプティマス」 書下ろし
・「アンスポーツマンライク」 書下ろし
・「逆ワシントン」 書下ろし