映画「ゴールデンスランバー」を見る

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昨年仙台でロケを行った、伊坂幸太郎原作、中村義洋監督の映画「ゴールデンスランバー」を見てきました。

伊坂作品の映画は、「
陽気なギャングが地球を回す
」、
アヒルと鴨のコインロッカー
」、「

フィッシュストーリー
」、「

Sweet Rain 死神の精度
」、「

重力ピエロ
」と見てきましたが、最も分かりやすく描かれ、感情移入できて、楽しめた映画でした。

この映画は、仙台にいるひとも、そうでないひとも楽しめる映画です。きっと学生時代の友だちに電話したくなるでしょう。

以下ネタバレあり。

仙台出身の若き首相が仙台をパレード中に暗殺され、主人公青柳は、オズワルドよろしく犯人に仕立てられて、警察から追われるハメになります。どうやら警察の一部は、その謀略に絡んでいるようですが、何故かは、分かりません。それは
原作
で。

最初から、犯人に仕立てられると分かって、仙台市内での逃走劇が始まります。素人の画策はすぐ見破られて、絶体絶命のピンチ。しかし、謎の通り魔が救ってくれます。さらに、大学時代の仲間や同僚達、そして様々な人が助けてくれるのですが、やはり警察からは逃げ切れない。どうするか・・・究極の手段は・・・?

首相暗殺犯?の逃走劇という緊迫したシーンから徐々に、「人のつながり」のテーマに移行し、ほっとした気分にさせてくれます。

特に、前半部、渋川清彦演ずる、同僚宅配ドライバーの、軽く、さりげないセリフにぐっときます。たぶん、見ている人も主人公と同じ気持ちになるでしょう。この瞬間に映画が決まります。


ゴールデンスランバー [Blu-ray]

「こんな女性が恋人なら」
「こんな仲間がいたら」
「こんな同僚がいたら」
「こんな事を親が言ってくれたら」

中村監督は、原作の2大要素、国家の陰謀と青春グラフティーのうち、前者は大胆にカットし、「信頼」と「人のつながり」を前面に出して物語を展開します。そのおかげで、話に集中できました。

原作と同じく、主に仙台中心部をロケし、のっけから藤崎デパート。ま、スポンサーやボランティアに気を使うのは、当然なのかもしれませんが、仙台人にとっては、分かりすぎて少々宣伝臭がうるさい気がしないでもないです。。

しかし、主人公がどの辺を走って逃げているかなどを、想像できるのは、他の地方の人には分からない楽しみではあります。

この原作を読んだ時から、「あ・はーん。これは伊坂先生、仙台を舞台の映画を想定しているな」と想像し(そういう見方に対し、先生は激怒されておりますが、期待してしまいます)、女優さえ間違わなければ、ヒットするだろうと思っていましたが、まさか東宝さんが出てきて、堺雅人竹内結子さんのゴールデン・コンビになるとは。(以下、男のみ敬称略)

竹内さんには、女子大生でも子持ちになっても、魅力に溢れる女性をしっかりと演じていただいております。

堺は冒頭のシーンで、即、「いい奴」という雰囲気醸し出し、さすが。中村監督が故に「アヒルと鴨」の濱田岳(伊坂想定モデルの通り魔役)、元ロッカーの同僚宅配ドライバーに渋川(いい味出してるに、パンフで紹介されてないのが残念)、大森南朋までは分かりますが、さすが東宝、脇役が豪華です。

警察官僚に最近出まくりの香川照之、学生時代の友人に吉岡秀隆・劇団ひとり、危ない殺し屋警官に永島敏行、柄本明(元ヤクザ)。そのほか、チョイ役で貫地谷しほり(アイドル役)さん、相武紗季(仕掛け人)さん、ソニン(後輩の子連れの恋人)さんなど。

ただ一点残念なのは、後半の山の、花火大会の回想シーン。もっと盛大に花火を見せて、二人のシーンを盛り上げてほしかったです。

さて、主人公は、宅配ドライバーなので、どこの大手宅配業者さんがスポンサーになるかな、と思っていましたが、流石に警察相手の逃走幇助という役回りで引いたのか、技術指導にクロネコさんの名前が出てるだけ。ちと残念。

これから進学などで、仙台に来る予定がある人は是非、見ておいてください。センダイ・ライフがより楽しいものになるでしょう。もし、勾当台公園で下ばっかり見ている人がいたら、その人もこの映画を見た人かもしれません。

尚、私が見た仙台市内の劇場では、タブロイド版のmachinavi Pressという、ぶ厚いフリーペーパーが置いてあり、映画の解説や賞品などが当たる関連イベントの申込み書、ロケ地mapがついていますので、もし見かけたら、是非入手しておきしましょう。