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熊谷達也著「リアスの子」を読む

熊谷達也著「リアスの子」を読みました。

七夕しぐれ」、「モラトリアムな季節」に続く、宮城・仙台を舞台にした著者の自伝的三部作の完結編ということで、「著者自身の教員時代の経験をもとに、教師と生徒の信頼についてがテーマ」とのコピーがついていました。

で、独身の中学教師である主人公の恋愛が、メインなのかと思っていたのですが、中心テーマは、転校してきた「問題児」女性徒を通じての、教師と生徒の心のぶつかりあいでした。


三陸の海沿いの中学校の数学教師で、陸上部の顧問である「私」は、中堅の教員として、純朴な生徒たちと穏やかな日常を送っていたのですが、そこに、母子家庭で、母親がスナック勤めという女性徒が、いきなり、校則違反のいでたちで現れます。

しかし、意外にも大人しい感じで、「私」は心配しながらも、ゆったり構えていたのですが、ついに「万引き事件」がおきます。

事件の場に他の生徒もいたと知った「私」は、「共犯」がいるのではないかと疑い、「尋問」してしまうのですが・・・

後半には、教師の幼馴染がOLを辞め、新人教師として赴任してきます。ここらが三部作との関連。

それより、問題は、これまで生徒たちと、いい関係を築いてきたと思っていたのが、転校生の出現、生徒へ疑いと、それに反発する他の生徒達と、波紋が次々広がってしまったこと。

ここで、「わたし」は思い切って、初心に立ち返り、生徒を信じることから始めるのですが・・・

現在の教育状況を見ると、やや牧歌的な感じがしないではないですが、信ずれば通じるのではないか、と希望を抱かせてくれる作品です。

熊谷達也 著 『リアスの子』   [PR]
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電子書籍:      
発行:2013/12/14 出版社:光文社 紙価格:1785円
ジャンル:青春 形態:単行本