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熊谷達也著「浜の甚兵衛」を読む

熊谷達也著「浜の甚兵衛」を読みました。

これまで、気仙沼がモデルの「仙河海」を舞台に、東日本大震災前後の人々の生き様を描いてきた著者が、明治三陸津波の頃の時代に、海で稼ぐ男のダイナミックな人生を描く「時代もの」です。


著者得意の「時代もの」。明治・大正・昭和の変動の時期を背景に、自然と格闘しながら、その恵みで生きている男の人生を描く他の作品と同様、生き生きとして人物が活躍する様は、読んでいて胸躍るものがあります。

他の「仙河海」シリーズなど、「現代もの」での思い入れは強いものの、やや窮屈そうな筆致と違って、自由に人物が動き回っている、と感じるのは私だけでしょうか。

「仙河海」シリーズ作品には違いないでしょうが、「邂逅の森」などと同じ、「時代もの」の一つとして読みました。
以下、ネタバレあり。

仙河海の大きな魚問屋の妾の子として生まれた管原甚兵衛は、若いながらも、沖合で魚を買い付ける仲買船を操り、機転を利かせて稼いでいたが、弊明治三陸地震の津波で、浜が全壊、船も失い、違う商売を考える。

そして、当時、政府の肝煎で始まった、北洋でのラッコ・オットセイ漁に勝負をかけ、成功するが、今度は・・・

漁師ではないけれど、近くの海の魚で食っていた男が、資金を集め、船を操りながら、猟銃で獣を撃って稼ぐという、まったく別の仕事に乗り出す、ヤマ師的な人生。

そういう事が可能だった時代、様々な災害に合いながらも、助け合い、競争しながら、逞しく生き抜いていく様が、読んでいて楽しくなります。

しかもラストは意外な結末になります。色々な所とつながっている海。「仙河海」が原点ながらも、続編(あるかな?)は、もっと違う展開になりそうです。

熊谷達也 著 『浜の甚兵衛』   [PR]
本購入:amazon honto本 楽天ブックス 紀伊國屋 セブンネット Honya Clubicon 
電子書籍:Kindle honto 楽天電書 Kinoppy BookLive 浜の甚兵衛 - 熊谷達也"> 
発行:2016/11/16 出版社:講談社 紙価格:1836円
ジャンル:純文学 形態:単行本