三浦明博著『逝きたいなピンピンコロリで明日以降』を読みました。
1959年生まれの著者が、シルバー世代の関心事を人情話に仕立て、まさに泣き笑いの短編7編。
登場人物7人に、直接のつながりはないものの、全編を読んで初めて、じわじわと心に沁みて来る構成になっています。
舞台として、西公園や小松島、台原など仙台の地名が出てきます。以下、ちょっとだけネタバレあり。
目次
もの忘れ(浅野拓三・68歳)
墓じまい(神楽一夫・72歳)
ウォーキング(宮戸千鶴・66歳)
遺影用(岡慎平・68歳)
まちの小さな本屋(福禄初子・80歳)
いぢわる(一条ヒサ・73歳)
上にサバ(土谷早苗・98歳)
何とも、身も蓋もないタイトルですが、第3編の「ウォーキング」に出て来る、健康づくりに目覚めた、女性のセリフから来ています。
目次から、だいたい内容が見当がつくと思いますが、繰り返す物忘れ、墓じまいと身内、孤独と健康維持への執念、そして高齢になってからの人付き合いや、生きがいづくりと、シルバー年代の方には、身につまされるネタばかり。
人情話得意の著者に乗せられて、微苦笑で済んでいる内はいいんですが、最初の4編くらいまでは、「現実を見せられても面白くないんだよ!」と怒り出す男性も、いるかも知れませんw。
でも、御安心下さい。
読み進めていくうちに、なんとなく希望が出てきます。
あるがまま、一歩踏み出す、踏み出そうとするだけで、すでに前進と。
ただ、前向きな高齢者の登場人物が女性ばかりというは、リアル過ぎて、男性にとっては、なんだや(仙台弁)と思ってしまうかも。
各プラットフォームで、紙版(1,870円)、電子書籍版(1,771円/AppleBoooksは1800円)とも、発売中。