三浦明博著「ゴッド・スパイダー」を読みました。
筆者の数年ぶりの書下ろし単行本ですが、ネットハッキングと、生物模倣の企業秘密という、二つの題材を織り交ぜた「社会派ミステリー」。以下ネタバレあり。
ネットハッキングについては、それこそネット上やマスコミにも、多数露出しているので、もう少し突っ込んだ展開があったらと思う反面、あまり話が専門的になると、ストーリーの方がぼやけてしまう、というジレンマがあったのかもとも思います。
生物模倣の方は、蜘蛛の糸の研究から、新たな軽くて丈夫な繊維を作り出すといもので、幾度かテレビなどで取り上げてられているので、「凄さ」は、いまひとつ。
しかしながら、学生時代の研究仲間との長い時間を経ての人間関係を絡めて、防御側と、ハッカーの戦いという展開になってくると、だんだん面白くなっていきます。
ハッカーに対抗する「無害化の奇策」には、思わず「ええー」となります。
こういう長い時間軸の話は、著者お得意の展開力が生きてきますね。あまり、専門性に拘らずに、気軽に読むと楽しいと思います。
尚、電子書籍版が、各プラットフォームから、1296円で発売になっています。