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瀬名秀明著、『100分de名著「アーサー・C・クラーク」スペシャル』を読む

明日3月2日から、NHK Eテレで毎週月曜22:25分から、瀬名秀明講師による「100分de名著「アーサー・C・クラーク スペシャル」」が、4回にわたって放送されます(再放送あり)。

そこで、テキスト本『「アーサー・C・クラーク」スペシャル 2020年3月』を読んでみました。

クラークの4作品「『太陽系最後の日』『幼年期の終わり』『都市と星』『楽園の泉』の四作を中心に読み解きながら、SF入門書であり、マニアな方には、SFと文学、そして文明のかかわりの再発見を促す、新書の趣きのテキストとなっています。
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熊谷達也著『我は景祐』を読む

熊谷達也著『我は景祐』(かげすけ)を読みました。

2018年は、「戊辰戦争150年」という行事が、会津若松市などで行われましたが、これに合わせて著者が、「小説新潮」に連載した初の時代小説。

492ページの大部ですが、戊辰戦争と仙台藩の関連に興味がある方には、一気に読ませるものでしょう。ちょっと会話が現代的な面もありますが。以下、ネタバレあり。

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伊坂幸太郎著『シーソーモンスター』を読む

伊坂幸太郎著『シーソーモンスター』をようやく読みました。

3つの条件を設定した上での、8作家による小説の競作、「螺旋(らせん)」プロジェクトとして、「小説BOC」1~10号(2016年4月から2018年7月)の間に連載された作品。

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瀬名秀明著『小説 ブラック・ジャック』を読む

瀬名秀明著『小説 ブラック・ジャック(APeS Novels)』を読みました。

ご存知、手塚治虫の医療漫画『ブラック・ジャック』のノベライズ。

現代の医療技術や時代状況を踏まえて、今ブラック・ジャックが手術をするなら、という5話。

原作同様、医療技術だけでなく、最新のエポックとヒューマンドラマを絡ませて、最後は、ぐっとくるお話になっています。以下多少、ネタバレあり。

全部で5話の構成。「B・J vs AI」は、自律的に高難度の手術もこなす、AI搭載の手術ロボットを開発した外科医が、ブラックジャックに挑戦状を送り、ロボットの手術室にB・Jが現れるが・・・人間と手術ロボットの未来を問いかける。

「命の贈りもの」以前は治療困難だった難病の弟を、冷凍保存から甦らせ、iPS細胞の技術で治癒を目指す研究者。そこには超難度の手術も不可欠・・・B・Jすら諦めていた、その先に。

「ピノコ手術する」テロの絶えない紛争地域で働く「医療関係者」の過酷な現状を描く一方、ピノコとB・Jのつながりを感じさせるエピソードのオーバー・ラップ。

「女将と少年」主人公の消化器外科医に「手塚」登場。病気で悩む母を救うべく、子供からの提案を受け、手術を準備する手塚に、絶体絶命の困難が。

「三人目の幸福」B・Jが探し当てた「仇」の前には、既に「殺し屋」ドクター・キリコが。殺すのか救うのか?生きている、とはどういうことか。何のための医療か。
B・Jの生き様をなぞりながら、医療と生きる意味も問いかける、エンディング・テーマ。

最後の話は、凄く解釈・意見が分かれそうな話で、読者が、誰かと話したくなるエピソードかと思われます。

全体に、医療技術の凄さ、B・Jの神業そのものより、原作同様、人の生き様の方をより抉った、著者としては異色な作品かと思われます。

尚、手塚治虫へのオマージュとして、各話に仕掛けがありますが、それは読んでのお楽しみ。

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熊谷達也著『エスケープ・トレイン』を読む

熊谷達也著、『エスケープ・トレイン』を読みました。

当方が勝手に命名している熊谷作品のジャンル、熊、オオカミなど動物と猟師の格闘描く「獣もの」、港町の人々の、明治から昭和の頃の半生を描く「時代もの」、自伝的作品も含め、若者の現代もの青春グラフティー「青春もの」とは違う、新ジャンル、スポーツエンタメの作品。色恋は出てきません。

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