熊谷達也著「微睡みの海」を読みました。
あるトラブルから、東北地方の海沿いの中学校の美術教師を辞め、元恩師の中年男と不倫しながら、若い元教え子の漁師とも関係する美術館学芸員の女。
と、本のキャッチコピー風に書くと、官能小説みたいですが、残念ながらそういう描写は、あまりありません。
また、読む前には、「七夕しぐれ」「リアスの子」に続く、著者の自伝的物語の三部作の続編かな、と思っていましたが、共通する人物はいるものの、前二作には登場しなかった女性を主人公とした、スピンオフの感じになっています。むしろ、
海沿いの街を舞台に、教師と生徒、男と女、地方の人間関係のしがらみを見つめ直し、過去から未来へと歩むことができるのか。。。
という、教師としての失敗、葛藤から、女性としての再出発という方がテーマと思われます。
教師時代の主人公を苦しめていたものは、何だったのか?それから逃れるように、自分の存在を確かめるように、男たちのとの関係にのめって行くのですが、それだけでは。。。
ラストの着地点は、女性的にはありなんでしょうか?男目線では、おいっという感じもありますが。
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