7伊坂幸太郎著「死神の浮力」を読みました。
映画にもなった「死神の精度」の続編で、ある人が「それなりに」生をまっとうしたかを調べ、事故などで死を与えたり、寿命を延ばす調査員という仕事を、太古からやっている「死神」(人間界の名前では千葉)が登場します。
以下ネタバレあり。
前作では、様々な調査対象者のエピソードを、短編でつなぐ形式でしたが、今回は、幼い娘を全く良心持たないサイコパスによって殺された小説家夫婦が、復讐を果たそうとする様々な試みに、千葉が、協力者というか、守護神の様になって、協力するという展開。
本来、死神は、冷徹に死か生かを判断するだけの傍観者に過ぎないはずですが、なぜか今回は積極的に、調査対象に絡んできます。
小説家夫婦は、初めはマスコミから娘殺しの犯人と疑われたり、裁判で犯人の巧妙な仕掛けで無罪になると、また取材攻めに合うという、状況に追い込まれています。
パパラッチを扱った「ガソリン生活」に続き、著者のマスコミ嫌いの描写が、この作品でも出てきます。
後半になると、伊坂作品らしく、言葉遊びや社会風刺も混ぜながら、どんどん追い込んでいくのですが、終盤には、一般人には納得できない結末が。。。
しかし、最後の最後で、またどんでん返し。ちょっと無理があるオチではありますが、ほっとするような、しないような。。。
冒頭部分だけ、2012年1月の別冊文藝春秋に発表されましたが、全体は書き下ろし小説とのことです。
尚、この作品は、紙書籍の他に、主要各プラットフォームの電子書籍(1400円前後)で読むことができます。